〜目次〜
はじめに
常設でまいたけの収穫体験を提供している事業者さんと連携して、アンケート調査から興味関心が高かった要素を既存コンテンツに添加することで、満足度と単価を上げる取り組みを行いました。
またプロモーションを3回に分けて実施することで、コンテンツに適した訴求内容や商圏の調査も実施しました。
イベント実施目的
ディスカバー東広島として、今回のイベントの実施目的を以下に設定しました。
- アンケート調査で得られたターゲットニーズを既存コンテンツに添加することによる満足度や単価UPの試行と今後の継続実施に向けた課題の抽出
イベント内容とワンポイント
実 施 日 | 2023年5月13日(土)10時~12時 |
参加者人数 | 8名(内2名当日キャンセル) |
参 加 費 | 1,800円/人 |
主 催 者 | 広島・入野きのこセンター |
内 容 | https://east-hiroshima.info/activity/plan/92 |
観光消費額UP
少人数制(今回は上限10名まで)とすることで主催者と参加者のコミュニケーション量を増やし、参加者満足度を上げ、単価も上げられるように内容を決めていきました。
また参加者には、イベント後に主催者が経営する飲食店で利用できるクーポン券を配布しました。スモールステップではありますが参加費だけでなく、その後の消費行動にも繋げることで観光消費額をアップさせるように取り組みました。(スムーズに飲食に繋がる様、イベント実施を午前とし、終了を12時に設定しました。)
自然体験型コンテンツの弱点克服
東広島の豊かな自然資源を用いた観光コンテンツ、イベントの弱点として当日の天候にイベント実施可否や集客が左右されやすい点があります。
そのため当イベントは雨天の場合も室内で体験ができるように主催者と調整を行い、当日は小雨となりましたが無事にイベントを実施することができました。
参加者も巻き込んだ観光地域づくり
当イベントは自然資源があってはじめて実施できた自然体験観光となります。今後も地域の貴重な資源を守っていくため、参加費の一部を自然保護活動を行っている団体に寄附することにしました。
また予約受付サイトにも参加費の一部が寄附されることを明記することで、(単価が高めの設定であったとしても)そのような活動に関心の高い層に参加してもらい、参加者と一体となった持続可能な観光地域づくりを進められるように工夫しました。
プロモーション
当コンテンツの訴求ポイントや課題等を洗い出すため、公式LINEからの発信を時間差で3つのグループに分けて発信し、仮説検証を行いました。
配信先 | 配信日 | 配信数 | クリック率 | 予約数 |
1. アンケート回答者 | 5/2 | 109 | 31.4% | 0組 |
2. 広島市内在住の親子観光興味関心層 | 5/4 | 100 | 38.6% | 0組 |
3. 東広島市内在住の親子観光興味関心層 | 5/8 | 150 | 56.8% | 3組(8名) |
1の過去にアンケート調査に回答者いただいた層に対して以下の文面、画像データにて配信を行いました。
アンケート調査記事はこちら
1は他のイベントに関する配信でもクリック率、CV率が極めて高いのですが、この配信を行い翌日まで待っても予約が得られなかったため、コンテンツやプロモーションに何らかの課題があることを確認することができました。
続いて自然体験コンテンツの商圏を把握するため、人口密集エリアである広島市在住の親子観光興味関心層に配信を行い、訴求力とCV率を検証していきました。
1の配信から当イベントやその画像データのみの訴求では、CVに至らない可能性があることが分かったため、「東広島で自然体験」とし、田植えやSUP体験など他のコンテンツも含め、URLリンク先のランディングページで当イベントを強調する配信を行いました。
この配信ではアンケート回答者よりも高い、約40%のクリック率となりましたが予約までには至りませんでした。(田植えなどの他のコンテンツへの予約も0件)
訴求力は一定数見受けられたものの車等で1時間弱の移動を伴った広島市からの参加には、まだコンテンツ力不足等の参加阻害要因があることが伺えました。
そして最後に2と比較するため、東広島市内在住の親子観光興味関心層に対して、2と同内容の配信を行いました。
結果は今まで公式LINEを運用した中でも最も高いクリック率となり、当イベントだけでなく田植え体験も残枠(4組12名)全て埋まる予約を獲得することができました。
このことから1のアンケート回答者に対しても2,3同様の配信内容を行っていれば当イベント等への送客もできていた可能性が伺えました。
LINEからの配信では画像データがとても重要であることが過去の検証から把握していましたが、昆虫の写真をプッシュ型通知で送付すると不快に感じられる方が多いことも予想されます。
特に親子向けイベントの予約者は女性が多い傾向があり、春休みに実施した親子イベントでは全予約97件の内、女性が84件(86.6%)、男性が13件(13.4%)となったため、より配慮が必要となり単体コンテンツとして訴求する場合は1の様な写真が今後も限界であると考えています。
公式LINEからの効果的な配信こちら
子供への直接的なアプローチによって、CVに変化が生じる可能性があるため、次回は夏休み期間中に毎年開催しているディスカバー東広島ウィークにて他のイベントとあわせてチラシを作製し、市内小学校に配布することで、どのような変化がみられるかを検証していきます。
コメント
少人数制であったため、地域の事業者さんのことや昆虫飼育のことを子供と一緒に、より詳しく知ることができました。
仕事内容を参加者に知ってもらえる機会になりました。子供たちに喜んでもらえるイベントとなったため、夏にも継続して実施できればと思います。
おわりに
複数日開催に挑戦
生き物の成長観察をテーマにした体験内容となるため、イベントにストーリー性がうまれ、リピート化しやすい可能性があります。継続参加された方々への特別料金の設定やインセンティブ付与によってリピート率を上げ、さらに口コミを広めてもらえる様な流れも創出していきます。
また保護者の方が土曜日に仕事というご家庭もあると考えられるため、次回開催時は土、日の両日にて設定し、それぞれ満枠に要するまでの時間も確認していくことで、親子向けイベントの参加阻害要因も検証していきます。
今回は体験時間を2時間で設定して実施しましたが、少人数制であったこともあり実際は1時間半程度で十分ということもわかりました。よって次回は少人数のまま満足度を保持しつつ、1日に2回以上として回転数を増やし、枠を設けて実施することも試行していきます。
ご当地グルメ情報の発信
今回は主催者の飲食店へ送客できるようにクーポンを配布しましたが、今後は当イベントにかかわらず東広島のご当地グルメを県内の方々に認知、推奨してもらうために商工団体等と連携して、イベント参加者に対してクーポン等の配布できるように調整を進めていきます。
「東広島に来たらこれを食べなきゃ損!」となる様に、ご当地グルメの認知度を高め、地域飲食店や生産者への経済効果、観光消費額のアップを図っていきます。
コンテンツのブラッシュアップ
広島市からの集客にはまだ、課題があることが明らかになったため、今後、商圏を広げていけるように参加者アンケート等を実施し、類似コンテンツとの差別化を図っていきます。
そしてデータを基にコンテンツをブラッシュアップしていく過程を事業者さんに共有しながら進めていくことで、データドリブンによる地域づくりの機運醸成を促進していきます。
追記(2023.08.07)
夏本番となりカブトムシやクワガタに関するイベントが増える7、8月にも継続して当イベントを実施しました。
主催者自らによるチラシの配布や3,000人規模の地域イベントの予約決済時クロスセルを実施したことで、土・日それぞれ1日2回転と増枠したにも関わらず、共に満員御礼となりました。
さらに初回参加者のリピート化も実現でき、イベント会場での追加販売など、客単価や消費額のUPも実施することができました。
催行日に関しては、土曜日に比べ日曜日の方が男性保護者の参加率が高いことが明らかとなり、当イベントの性質上、日曜日での開催が適していることが伺えました。
口コミの効果はまだ見られていないため、引き続き類似サービスとの差別化等と併せて実施検証していきます。
追記(2024.04.26)
通年定期開催とリピーター形成
夏休みの傾向から9月以降のイベント日は第2日曜日に固定して定期開催していきました。
そしてオウンドメディアからのプロモーションを行わずとも、冬季も含め通年催行できるコンテンツとなりました。
新規参加者発地の割合(2024年4月現在)は東広島市68.7%、市外31.3%となり、体験者からのコメントやフィードバックを基にイベント内容を改善していくことで、広島市からも集客でき、コンテンツ商圏を拡大することができました。
リピート率が約5割となったため、イベントを10時~11時半を新規の方、11時半~13時をリピーターの方と2部制にすることで、収益と現場オペレーションの向上を図りました。
口コミ促進を目的として、友達紹介者に対する景品のプレゼントを実施していますが、1組のみの利用となり口コミ効果の波及にはまだ至っていないことが伺えます。
実施場所を里山フィールドへ
イベント開始から1年を契機に実施場所を福富町にある里山フィールドに移すこととなりました。
人口減少などによって管理が難しくなる里山の増加が地域課題となる中、「楽しい」「嬉しい」「美味しい」体験を子どもたちに提供することをコンセプトに里山フィールドの活用を進める地域の方と連携して、当イベントを実施していきます。
マネタイズできる体験コンテンツをフックとして、人口密集地から里山フィールドへの人流を創出することで自然資源の活用と関係人口の形成を促進していきます。