〜目次〜
はじめに
自然の中に入るアクティビティを通じて木育や自然資源の循環などをテーマに活動されている「自然でトトノウ会」と里山資源を活用した2つのイベントを連携して実施しました。
イベント実施目的
東広島には豊かな自然や昔ながらの里山環境が多く残されています。一方で高齢化や人口減少などによって、里山の整備を定期的に実施することができなくなってしまったエリアや、耕作放棄地となってしまった田畑の課題にも直面しています。
今回、「自然でトトノウ会」と連携してイベントを実施するにあたり、ディスカバー東広島として持続可能な観光地域づくりを行うため以下の目的を設定して、コンテンツの企画開発を行いました。
- 里山資源を活用したニーズ・継続性の高い体験コンテンツを企画実施し、課題の洗い出しと展望設定を行う。
イベント内容とワンポイント
イベント1 | 自然で遊ぼう!~オリジナル竿作りと魚釣り~ |
実施日 | 8月20日(日)9時半~12時 |
参加者人数 | 36名 |
参加費 | 500円/未就学・大人 1,000円/小学生~高校生 ※参加費の一部を自然保護団体へ寄付 |
内容 |
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イベント2 | 休耕田ビオトープで生物観察 |
実施日 | 9月16日(土)10時~11時半 |
参加者人数 | 13名 |
参加費 | 500円/人 ※参加費の一部を自然保護団体へ寄付 |
内容 |
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地域課題 x データドリブンによるコンテンツ開発
過去に公式LINEから実施したアンケート調査にて、興味関心が高いことが伺えた「釣り」や「小動物と触れ合えるスポット」「安心して子供を遊ばせられる水遊び場」などの要素を里山を舞台に表現していきました。
↓↓公式LINEアンケート結果はこちら↓↓
除伐材の活用
里山は自然環境と人間の共存地域となり、人間の手入れがなければ草木が過密化し、多様な動植物の生息環境を損ねてしまいます。
今回、イベント1のフィールドとなった場所もシャクナゲが群生しており、以前は開花期間中に多くの大型バスが往来する観光スポットでした。
しかし担い手不足などの要因もあり、定期的な草刈りや除伐、枝打ちを行うことができず、いつしか観光客の足も遠のいてしまいました。
そこでオリジナルの釣り竿を「除伐」した木材から作製し、近くを流れる清流で小魚を釣る体験内容とすることで、地域課題に観光ニーズを掛け合わせ、企画への集客を実現するだけでなく満足度も高いイベントとなりました。
休耕田の活用
東広島は広島県内で最大の穀倉地帯となり、棚田などの田園風景を市内のいたるところで目にすることができます。一方でこちらも担い手不足により耕作放棄地となってしまい、利用されていない畑や田んぼが地域課題となっています。
こちらもアンケート調査から「小動物と触れ合えるスポット」や「安心して子供を遊ばせられる水遊び場」という回答結果をもとに、今年(2023年)から休耕田となった田んぼをビオトープとして環境を整え、生物観察イベントを実施しました。
また休耕田ビオトープの生物多様性がどのように豊かになっていくかを図鑑形式にしてイベント毎でWEBサイトに更新することで、ストーリー性を生み出し、参加者の方々に継続的にイベントへ参加してもらえるように試みています。
コメント
イベント参加者と「自然でトトノウ会」からのコメントは以下の通りとなります。
事前準備された木を使うのではなく、実際の木を切って作る経験が子供にとっては良い経験や思い出になると思い良かった。
昨今なかなかできない貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。親子ともに大変楽しい時間を過ごすことができました。今後も機会があればぜひまた参加させていただきたいです。
今回実施したイベントのように、自然資本をどのようにアレンジして体験化するかがカギとなると考えています。まずは、親しみやすい&興味を惹かれるイベントを開き、自然に触れる機会を提供し続けていきたいと思います。
おわりに
消費への結びつけ
今回連携して実施した2つのイベントは決して商圏の広いコンテンツとは言えず、客単価も上げにくい内容となります。
よって次回以降は他のイベント同様に参加者がイベント前後に地域の直売所や飲食店を訪れる仕掛けをコンテンツに盛り込んで行きます。
地域資源を次世代へ
担い手不足などの地域課題を解決するために必要となる作業を「体験」と称してただイベント化したとしても、リピーターの獲得や口コミ効果の波及はおろか集客することすらできず、催行自体がままなりません。
あくまでもレジャー体験とし、マーケットインから地域課題に取り組み、その価値に共感するターゲット層に届けていく必要があると考えています。
アンケート調査結果のフィードバックによるコンテンツの磨き上げやプロモーションによって、主催者の実施目的に沿った企画支援を実施し、地域資源を観光の力で次世代に残していく取り組みを今後も継続して行っていきます。