事業報告

2026年 持続可能な観光に対する住民満足度調査 |集計・分析編

はじめに

東広島市における持続可能な観光地づくりを進めるため、市公式LINEを活用し、観光に対する住民満足度や地域への誇り、観光客との接点、観光地域づくりへの参加意向等を把握するアンケート調査を実施しました。

今年度は、昨年度から継続する地域DMO必須KPIの住民満足度に加え、新たに「東広島市で暮らしていることへの誇り」や、市民が「好き・人におすすめしたい」と感じる地域資源、酒まつりへの参加状況等を調査しました。また、市外在住者には来訪満足度や市公式LINEの観光情報をきっかけとした行動についても確認しています。

本編では、調査結果から確認できた事実と分析を中心に整理します。今後の具体的な施策、昨年度調査後に実施してきた取組の進捗評価、次年度以降の対応方針については、別編「アクション方針・進捗評価編」で整理します。

なお、昨年度の調査結果及び、その結果を踏まえて設定したアクション方針・目標値については、以下の報告書をご覧ください。
2025年度 持続可能な観光に対する住民満足度調査|アクション方針・目標値設定編

2025年 持続可能な観光に対する住民満足度調査|アクション方針・目標値設定編

調査概要

調査方法 市公式LINE上でのアンケート調査
調査期間 2026年10月19~25日  7日間
有効回答数 588件
主な分析対象 東広島市内在住者 533件
市外在住者 55件(うち市内就業者2件、市外勤務等53件)
調査実施主体 一般社団法人ディスカバー東広島

本調査は、市公式LINE上で、回答者の居住地・就業状況に応じて設問を分岐させる方式で実施しました。市内在住者には住民満足度、不満要因、地域への誇り、観光客との接点、参加意向等を、市外在住者には来訪満足度や市公式LINEの効果等を中心に把握しています。設問設計の全体像は、次の参考図の通りです。

※市内在住者、市外在住・市内就業者、市外在住・市外勤務等で設問が分岐する構成を示しています。

※市外在住・市内就業者は2件にとどまったため、「働いてよし」に関する定量的な評価・一般化は行わず、今年度は参考値として扱います。

アンケート集計・分析

回答者属性

市内在住者533人の年代では、50代が25.5%で最も多く、60代22.0%、40代20.3%と続きました。居住地域では西条43.3%、高屋19.9%、八本松16.5%が多くなっています。属性別の結果は回答者構成の影響を受けるため、地域全体の人口構成をそのまま反映するものではありません。

図1 回答者の年代

図2 回答者の居住地域

持続可能な観光地としての住民満足度

市民533人のうち、「とても満足している」「まあ満足している」を合わせた満足率は43.2%となりました。前年の37.7%から5.5ポイント上昇しています。一方、「あまり満足していない」「まったく満足していない」を合わせた不満率は28.1%で、前年27.9%からほぼ変化していません。

このため、今年度は「不満層が減少した」というよりも、前年に大きな割合を占めていた中立層が減り、満足側の回答が増えた結果と捉えることが適切です。なお、今年度は調査手法や回答者構成が前年と異なるため、前年差のみから市民全体の意識変化を断定することはできません。

図3 住民満足度の前年比較

不満の主な要因

住民満足度で不満側を選択した150人に不満要因を尋ねたところ、「地元経済への還元が感じられない」が58.0%で最も高く、「観光による交通混雑や駐車場不足」が54.7%、「文化・伝統の保全が十分でない」が35.3%と続きました。

前年との比較では、「地元経済への還元」は64.0%から58.0%へ低下したものの、引き続き最大の課題です。一方、「交通混雑・駐車場不足」は44.1%から54.7%へ10.6ポイント上昇しました。「自然環境や景観への影響」も6.3%から15.3%へ上昇しており、今後も継続して状況を確認する必要があります。

図4 不満要因の前年比較

東広島市で暮らすことへの「誇り」

今年度、新たに「あなたは、東広島市で暮らしていることを誇りに感じますか」と尋ねました。「とてもそう思う」27.2%、「まあそう思う」50.1%を合わせた肯定率は77.3%でした。今後、地域への誇りと観光への評価・参加との関係を継続的に確認するため、今年度の結果を基準値として扱います。

図5 東広島市で暮らすことへの「誇り」

「誇り」と住民満足度の関係

地域への「誇り」が高い412人のうち、住民満足度が不満側であった人は94人でした。これは市民全体の17.6%、不満層150人の62.7%に相当します。

この結果から、観光への不満が必ずしも地域そのものへの否定を意味していないことが分かります。「満足度は低いが誇りは高い」94人の不満要因では、「地元経済への還元」と「交通・駐車場」が各52人、「文化・伝統の保全」が38人と多く、具体的な観光課題への改善期待を持つ層と捉えることができます。

図6 地域への「誇り」と住民満足度のクロス分析

観光客との接点と観光地域づくりへの参加意向

観光客との関わりについて、「買い物や外出のときにたまに見かける程度」44.5%と「ほとんど関わりはない」31.0%を合わせると、75.4%が観光客との接点が少ない層でした。前年の77.1%と比べても、接点構造に大きな変化はみられません。

一方、観光地域づくりへの参加については、「現在も参加している」「積極的に参加したい」「参加したい」を合わせた参加意向あり層が71.1%となりました。観光客との接点が少ない402人に限っても66.2%が参加に前向きであり、「接点は少ないが参加意向は高い」市民は266人、市民全体の49.9%を占めます。

観光客との日常的な接点を増やすことだけでなく、イベント、地域の魅力発信、ボランティア等の具体的な参加機会を示すことが、住民と観光の関係性を深める一つの方法になると考えられます。

図7 観光客との接点別の観光地域づくり参加意向

市民が「好き・おすすめしたい」と感じる場所

市民に「好き」「人におすすめしたい」と思う東広島市内の場所・スポットを最大3件まで自由記述で尋ねたところ、533人中529人から具体的な回答がありました。

名寄せした一次集計では、「西条酒蔵通り・酒蔵」が368人と突出して多く、「道の駅 西条のん太の酒蔵」112人、「道の駅 湖畔の里福富」81人、「鏡山公園」48人、「三ツ城古墳」47人と続きました。

自由記述としたことで、観光施設だけでなく、広島大学、公園、海・景観、文化施設など、市民生活に近い地域資源も自発的に挙げられました。今後の情報発信では、既存の観光スポットだけでなく、市民が価値を感じている日常的な地域資源にも目を向けることが重要です。

図8 市民が「好き・おすすめしたい」と回答した場所 上位10

酒まつりへの参加状況と不参加要因

市民の酒まつり参加状況は、「参加した」が39.8%、「参加したかったが都合等により参加できなかった」が34.0%、「参加する予定はなかった」が26.1%でした。「開催を知らなかった」は0.2%にとどまり、認知不足よりも参加上の障壁が主な課題と考えられます。

不参加者321人の理由では、「会場の混雑」39.9%が最も高く、「交通・駐車場」30.2%、「日程・時間」28.0%、「日本酒をあまり飲まない」25.2%と続きました。自由記述では、仕事・勤務、旅行・家族行事、体調等の不可避な理由も多く確認された一方、混雑や酔客への抵抗など運営面で改善を検討できる意見もみられました。

図9 酒まつりへの参加状況

図10 酒まつり不参加理由

市外在住者の来訪状況と市公式LINEの効果

市外在住・市外勤務等の回答者53人では、過去1年間に東広島市を訪れた人が96.2%、来訪経験者の満足率が96.1%、今後の来訪意向が96.2%となりました。市公式LINEで観光情報を受け取る市外在住者は、東広島への関与が高い層であることがうかがえます。

LINE詳細設問に回答した48人では、観光情報への満足率が85.4%でした。具体的な行動として、「行ってみようと思い予定や詳細を調べた」50.0%、「家族や友人に情報を共有した」43.8%、「紹介された場所・店舗を訪れた」29.2%、「公式WEBサイトを見た」29.2%、「紹介されたイベントに参加した」27.1%となりました。

少なくとも何らかの具体的な行動が確認された人は46人(95.8%)、実際の場所・店舗への来訪またはイベント参加が確認された人は21人(43.8%)でした。ただし、対象者は48人と少なく、観光情報の受信を希望する高関与層であるため、LINE利用者全体に一般化せず、今後のCRM施策の参考指標として継続的に確認します。

図11 市公式LINEの観光情報をきっかけとした行動

おわりに

2026年度調査では、持続可能な観光地としての住民満足率が43.2%となり、前年37.7%から上昇しました。一方、不満率はほぼ横ばいであり、特に「地域経済への還元」と「交通・駐車場」は引き続き重要な課題です。

また、新たに把握した「誇り」では77.3%が肯定的に回答しました。分析からは、「観光に不満があっても地域への誇りは高い」「観光客との接点が少なくても観光地域づくりへの参加意向は高い」といった、市民と観光の関係を単純な満足・不満だけでは捉えきれない特徴が確認されました。

次編「アクション方針・進捗評価編」では、昨年度設定した目標値に対する進捗確認に加え、本調査で明らかになった課題・潜在層を踏まえ、これまでの実施アクションの整理と今後のアクション方針を示します。

2026年 持続可能な観光に対する住民満足度調査|アクション方針・進捗評価編

2026年 持続可能な観光に対する住民満足度調査 |アクション方針・進捗評価編

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