事業報告

2025年 東広島インバウンドアンケート調査|親族・知人訪問目的編

はじめに

ディスカバー東広島では、東広島市を訪れる外国人来訪者の実態を把握し、今後の観光地域づくりや受入環境整備に活用することを目的として、2025年通年で多言語アンケート調査を実施しました。

本稿では、全回答のうち「親族・知人訪問目的(VFR)」で東広島市を訪れた外国人来訪者の回答を対象に、来訪者属性、滞在日数、消費額、訪問先、移動手段、満足度等を分析し、親族・知人訪問を地域回遊や消費につなげるための方向性を整理します。

なお、親族・知人訪問目的の回答数は10件であり、サンプル数が限られるため、本分析は統計的な一般化ではなく、今後の受入環境整備や追加調査に向けた参考傾向として整理しています。

観光目的来訪者の調査結果は以下からご確認いただけます。

2025年 東広島インバウンドアンケート調査|観光目的編

調査概要

調査方法 インターネット調査
対象者 東広島を訪れた外国人観光客
言語 英語、中国語(繁体・簡体)、韓国語
調査拠点 宿泊施設(3か所)、観光案内所(2か所)、酒蔵(1か所)、その他 酒蔵通りを散策する観光客への調査員からの回答依頼
設問設計 以下、挿入画像参照
回答数 10件
調査期間 2025年1月~12月
調査実施主体 一般社団法人ディスカバー東広島

アンケート集計・分析

回答者属性|家族同伴が中心、国籍は多様

親族・知人訪問目的来訪者10人の属性を見ると、年代では40代が4人と最も多く、30代・50代が各2人、20代が1人となりました。性別では男性が6人、女性が4人でした。

国籍は、ドイツとアメリカが各2人、中国、スリランカ、カナダ、インド、シリア、オーストラリアが各1人であり、特定の国・地域に偏らず、多様な国籍の来訪者から回答が得られました。

同行者については、家族が6人と最も多く、カップルが2人、友人が1人、未回答が1人でした。親族・知人訪問目的では、単独旅行というよりも、家族や近しい人との来訪が中心となっていることがうかがえます。

訪問先|西条酒蔵通り・酒蔵への立ち寄りが多い

東広島市内で訪問した、または訪問予定の観光スポットを見ると、「西条酒蔵通り・酒蔵」に関する回答が5件確認されました。

一方で、宮島、尾道、竹原など、市外観光地を挙げる回答も3件ありました。また、「まだ分からない」という回答も1件確認されました。

このことから、親族・知人訪問目的で東広島市を訪れた来訪者であっても、西条酒蔵通りや酒蔵に立ち寄る動きが見られる一方、東広島市内だけでなく、広島県内外の観光地と組み合わせて行動している可能性があります。

親族・知人訪問目的の来訪者は、滞在先の親族・知人の案内や提案によって訪問先が決まることも想定されるため、地域住民や市内在住の外国人、ホスト側に向けた観光情報の提供も重要なことが伺えます。

移動手段|鉄道を中心に、バス・徒歩・知人の車も利用

観光スポットへの移動手段を見ると、鉄道が6件と最も多く、バスが3件、徒歩が3件、タクシーが1件、親族・知人の車が1件でした。

複数回答であるため単純比較には注意が必要ですが、親族・知人訪問目的であっても、公共交通機関を利用しながら移動している来訪者が一定数確認されました。

このことから、公共交通を利用する来訪者向けには駅から酒蔵通り等への分かりやすい案内を整備するとともに、ホスト側が案内しやすいモデルコースや多言語情報の提供も有効と考えられます。

滞在日数|日帰りと長期滞在が併存

東広島市での滞在日数を見ると、0泊(日帰り)が3人、2泊が1人、3泊が2人、6泊以上が4人でした。

観光目的来訪者では日帰りが多く見られた一方、親族・知人訪問目的では、日帰り来訪者と6泊以上の長期滞在者が併存していることが確認されました。

特に6泊以上の長期滞在者が4人確認されたことから、親族・知人訪問目的は、滞在期間中に飲食、買い物、観光、体験等の地域消費につながる可能性を持つ来訪者層であることがうかがえます。

消費額|長期滞在者に高額消費の傾向

東広島市内での消費額を見ると、1万円以下が4人、1万円超〜3万円以下が2人、3万円超〜10万円未満が1人、10万円以上が3人でした。

1人あたり消費額の平均は54,800円、中央値は17,500円でした。ただし、10万円以上の高額回答が平均値を押し上げているため、解釈には注意が必要です。

滞在日数と掛け合わせて見ると、6泊以上の長期滞在者4人のうち3人が10万円以上の消費額を回答しており、長期滞在が地域消費の拡大につながる可能性が示されました。

一方で、日帰りや23泊の来訪者では、1万円以下または1万〜3万円程度の消費が中心となっており、滞在日数によって消費構造に違いが見られます。

来訪歴|日本・広島・東広島のリピーターが多い

日本への来訪歴を見ると、610回目が3人、11回以上が3人、35回目が2人、2回目が1人、初回が1人でした。つまり、親族・知人訪問目的来訪者の多くは、日本への来訪経験を複数回有しているリピーター層であることが分かります。

また、東広島市への来訪歴では、35回目が5人、2回目が3人、初回が2人であり、初めて東広島市を訪れる層よりも、複数回訪れている層が多い結果となりました。

このことから、親族・知人訪問目的来訪者は、日本だけでなく、東広島市への来訪経験も有するリピーター層が中心であることがうかがえます。親族・知人とのつながりが、継続的な来訪や再訪のきっかけとなっている可能性があります。

満足度|設備維持管理は高評価、飲食店の多言語対応に課題

親族・知人訪問目的来訪者の満足度を見ると、総合満足度は平均4.33点(6点満点)でした。

項目別では、トイレ等の施設維持管理が平均4.89点と最も高く、地元の方々のおもてなしが平均4.38点、観光施設スタッフの対応が平均4.14点となりました。

一方で、飲食店の多言語対応は平均3.14点、特産品・お土産は平均3.71点、Wi-Fi等の情報通信環境は平均3.78点と相対的に低くなっています。

このことから、親族・知人訪問目的来訪者に対しても、飲食店の多言語対応や、買い物・土産情報、通信環境など、滞在中の生活・観光行動を支える情報整備に改善余地があることがうかがえます。

推奨度|全員が7点以上、一定の推奨意向を確認

東広島市を観光地として知人に勧めたいかを尋ねた推奨度では、有効回答9人全員が7点以上と回答しました。

内訳を見ると、7点が5人、8点が2人、9点が2人であり、批判者にあたる06点の回答は確認されませんでした。

一方で、910点の強い推奨者は2人にとどまっており、親族・知人訪問目的来訪者に対しては、滞在中の体験価値や情報提供を高めることで、より強い推奨意向につなげる余地があると考えられます。

その他意見・感想

自由記述では、酒蔵ツアーの充実を求める声や、カフェの営業状況に関する不便を指摘する声がありました。

“I love sake. I think the breweries need to encourage more foreigners to enjoy sake. Offer a sake brewery tour!”

“We were trying to find nice open coffee shops today… and the two recommended ones were both closed, very inconvenient.”

これらの意見からは、親族・知人訪問目的での来訪であっても、日本酒や酒蔵体験に対する関心があることがうかがえます。一方で、飲食店やカフェの営業情報が分かりにくい場合、滞在中の満足度や回遊行動に影響する可能性があります。

クロス集計

滞在日数 × 消費額

滞在日数と消費額を掛け合わせて見ると、日帰り(0泊)来訪者3人の消費額は8,000円、10,000円、20,000円でした。

一方、6泊以上の長期滞在者4人では、80,000円、100,000円、150,000円、150,000円の回答があり、長期滞在者ほど高額消費につながる傾向が見られました。

サンプル数は少ないものの、親族・知人訪問目的来訪者においても、滞在日数の長さが地域消費の拡大に関係している可能性があります。

おわりに

本調査では、親族・知人訪問目的来訪者の回答数は10件にとどまるものの、家族同伴での来訪、長期滞在、日本・広島・東広島へのリピーター性といった特徴が確認されました。

また、親族・知人訪問目的の来訪者であっても、西条酒蔵通りや酒蔵に立ち寄る動きが見られ、滞在中の地域回遊や消費につながる余地があることがうかがえます。

一方で、飲食店の多言語対応、カフェ・飲食店の営業情報、土産・買い物情報、Wi-Fi等の情報通信環境については改善余地があり、滞在中に必要な情報へスムーズに到達できる環境づくりが求められます。

今後、ディスカバー東広島では以下の方向性で取組を進めていきます。

ホスト側が案内しやすいモデルコース・VFR企画の継続

親族・知人訪問目的では、市内在住の家族・知人が来訪者を案内する場面が想定されます。

ディスカバー東広島では、VFR促進の観点から、外国人市民を対象としたバスツアーを継続実施しており、市内や周辺市町の観光スポットを体験してもらい、SNS投稿やGoogleマップ等への口コミを通じて、参加者の家族・友人への認知形成を図っています。

VFR促進企画|地域連携周遊ツアー

今後も、外国人市民がホストとして案内しやすい半日・日帰り・家族連れ向けのモデルコースづくりや、外国人市民自身による情報発信を促進し、親族・知人訪問を地域回遊につなげていきます。

飲食店・カフェ・土産情報の多言語化

満足度分析や自由記述から、飲食店の多言語対応や営業情報の分かりやすさに課題が見られました。

今後は、英語等で利用しやすい飲食店・カフェ情報、営業時間、定休日、予約可否、キャッシュレス対応、土産購入場所等を整理し、来訪者とホスト双方が使いやすい情報導線を整えます。

継続調査による実態把握の強化

今回の親族・知人訪問目的来訪者の回答数は10件であり、分析には限界があります。

今後は、宿泊施設、観光案内所、市内在住外国人コミュニティ、国際交流団体等と連携し、親族・知人訪問目的の回答数を増やすことで、滞在場所、滞在期間、同行者、消費行動、ホストとの関係性などをより詳細に把握していきます。

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