事業報告

地域資源の継承・保全

はじめに

昨年に引き続き、地域イベントの予約決済のDX化支援による主催者の負担軽減と観光客のユーザビリティ向上への取組を行いました。

【リバーサイドフェスティバル概要】

実施日 2024728()
予約者人数 895
体験参加費 1,200
主催者 リバーサイドフェスティバル実行委員会

↓↓今までの取組はこちらから↓↓

地域イベントのDX化による持続可能な賑わい創出

課題とアクション

昨年の伴走支援と主催者の方々とのミーティングから以下の課題をリストアップし、改善していくこととしました。

  • 実行委員会の人手不足による個々への負担増
  • 温暖化によるイベント会場水温の上昇(鮎の管理が困難)
  • 駐車場のキャパシティオーバーによる交通渋滞

イベント規模の最適化と負担軽減

オーバーツーリズムとなっているイベント規模の最適化を行うため駐車場キャパを制約条件の最上位とし、鮎つかみ催行最少人数と収支バランスのシミュレーションを行いました。

営利を目的にしたイベントではないものの、物価の上昇が加味されないまま参加費は据え置きとなっていたため、今回は200/人の値上げを行いました。

駐車場キャパへの対策として乗り合いや公共交通機関での来場を促進するため、駐車場料金の値上げも行いました。

また昨年までは駐車場への入場時に駐車料金と入場料の徴収を現金で行っていましたが、今年は入場料を撤廃し、駐車場は鮎つかみ体験と同様にオンライン予約決済を導入することで主催者の負担軽減とユーザビリティの向上を図りました。

駐車場のQRコードチェックインは実行委員会が地域団体に有償で業務委託し、炎天下で読込端末の遅延等が発生したものの大きなトラブルなく、250台以上の入場対応を完了することができました。

温暖化に伴いイベント会場の水温が上昇傾向にあり、鮎の管理が困難になっていることから体験は午前中のみとし、駐車場キャパの兼ね合いからも体験者枠数を1,200名から900名へと減らすこととしました。

その代わり、イベント自体の集客力を活かして午後は地域団体が川遊びイベントを実施し300名以上が参加する賑わいとなりました。

データ収集

オンライン予約時のフォームに「発地(住所)」だけでなく「会場までの移動方法」や「リピート率」等の設問を新に設けることで、オーバーツーリズム対策や規模最適化へのアクションのための根拠データの取得も行いました。


東広島市内からの予約が70.9%を占めており、続いて広島市・安芸郡となりました。

駐車場不足が懸念されたため、ランディングページに電車や乗合での来場を推奨する記載も行いましたが数値は自家用車利用の1(28件、全予約の8.4)に留まりました。

参加者ボリュームゾーンがファミリー層となり、荷物が多く公共交通機関での移動にハードルがあり、またチャイルドシートなどの関係で駐車場を値上げしても、乗り合いの促進には繋がりにくいことが伺えました。

  • 中段濃青:各家族構成合計件数に対する割合、下段薄青:全予約333件に対する割合
  • YF:ヤングファミリー。9歳以下の子供を含む予約をカウント
  • 子供同伴:19歳以下の参加者が含まれ、且つ9歳以下がいない予約をカウント

30年以上続くイベントとなり認知度と一定のリピート層が形成されている一方で、参加割合では「初めて x ヤングファミリー」が全体の35.4%と最も高い結果となりました。

規模最適化から積極的なプロモーションは行っていないものの口コミ効果を波及させるため、一定のプロモーションはDMOや保育施設、小学校経由で毎年行う必要があることが伺えました。

(子供の成長とともに「ヤングファミリー」のリピート率は「610回」で大幅に低下(35回目」から13.5ポイントDOWN)し、「子供同伴」へ移行する傾向も低い)

おわりに

まきこみ

地域団体との連携

今回、地域団体が鮎つかみ体験後に子供を対象にしたイベントを企画実施したように、自治協議会が主体となる実行委員会では負担が大きい部分は適宜、民間団体との連携を積極的に進めていくことも必要であると考えています。

QRコードを用いたオンラインチェックインも有償でデジタルネイティブ世代の方々に担っていただくことで、イレギュラーな対応にもスムーズな処理が可能なことが伺えました。

一方で、全てを外注してしまっては何のためのイベントなのかが不明瞭になってしまうため、実施目的を整理して軸となる部分は実行委員会の方々が担うことが重要であると考えています。

実行委員会への慰労と観光教育

30年以上前、イベントが始まった当初は地域の子供たちが対象であったため実行委員会の方々の努力や苦労を地域の多くの方々が間近で感じることができ、感謝しやすい環境であったのではないかと想像します。

現在は「発地」の数値でも表れているとおり、町内からの体験者は2.8%となります。イベント実施に係る行政や企業、教育機関、消防団の方々との調整や炎天下の中での事前準備、当日のオペレーションを行う実行委員会の方々の苦労が昔に比べ地域の方々に伝わりづらくなっており、やりがいも得にくい環境になっているのではないかと感じています。

またそのように地域のために頑張っている姿を間近で見て、『大人になったときに次の世代に同じ経験をさせてあげたい』と思う方々がイベントに関わる機会も同様に減っているのではないかと考えています。

現在も、地域の中学生や高校生がボランティアとしてイベント当日の運営を担っています。彼らに対して実行委員会や市、DMO等がイベントを実施、支援する意味を伝える機会をイベント時以外に定期的に持つことで観光地域づくりの機運醸成を行っていく必要性を感じています。

地域資源の継承・保全

当イベントだけでなく、市内には人口減少、少子高齢化により地域を代表するイベントや景観の継承、保全に課題が見受けられます。

地域の方々の実施目的の整理と市の支援方針の決定、DMOの活動領域を地域の実情に即して整理していくことによって、東広島ならではの持続可能な観光地域づくりをこれからも進めていきます。

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