〜目次〜
はじめに
東広島にある2つの漁協組合が連携して開催する牡蠣筏(かきいかだ)を舞台にした黒鯛釣り大会に関するWEB広告をディスカバー東広島にて実施しました。
昨シーズンの大会風景はコチラから
定員は初めて開催された昨シーズンの50名から80名まで増やし、参加費も3,500円から5,000円にアップさせての募集となりました。
まず昨年度参加者の方々に優先的に案内が行われ、約40名から予約が入りました。続いて1月中旬から一般予約が開始され、主催者やイベントの企画を担っている地域づくり会社ひとむすびのオウンドメディア等からのプロモーションによって約20名増、計60名まで予約が確保されました。
そして新規予約者数が横ばいとなり始めた2月上旬からディスカバー東広島がWEB広告をスタートさせました。
プロモーション目的
限られた財源の中で、送客だけを目的にした有料広告を全ての地域イベントにてディスカバー東広島が担うことは現実的に不可能となります。
よって今回は以下の2点を目的に定め、WEB広告によるプロモーション支援を実施することとなりました。
- 主催者(漁業組合)が次回以降のイベント開催時に最適なWEB広告を依頼することができるようになる(今回はディスカバーにてプロモーション支援を行いノウハウを蓄積し、主催者に展開する)
- 牡蠣筏釣りコンテンツの商圏範囲調査
上記の目的以外にももちろんイベントへの送客だけでなく、ランディングページをディスカバー東広島の運営する公式WEBサイト「東広島 観光おでかけナビ」とし、記事中にディスカバー東広島のLINE公式アカウントURLを掲載することで、サイトユーザー数やPV数の増加、LINE公式アカウントへの登録促進も行いオウンドメディアの発信力強化も狙いました。
WEB広告内容
実施期間 | 2月3~16日(2週間) |
媒体 | Googleファインド広告 |
配信地域 | 呉市、広島市、竹原市、三次市と大阪市 |
配信対象 | 「黒鯛/チヌ/釣り/フカセ釣り」等のキーワード検索ユーザー |
対象属性 | 40~50代/男性 |
ランディングページ | https://east-hiroshima.info/news/news/news_20230110 |
GWを見越して早めに配信
釣り大会開催日の2ヶ月以上前からWEB広告を開始しました。イベント当日から2週間から1ヶ月前の配信が一般的ですが、当大会開催日がゴールデンウィークの初日にあたるため、早めにおでかけや旅行の計画を立てる方も多いと考え、通常よりも1ヶ月以上早いタイミングで配信を行いました。
イベント内容を加味した媒体選定
黒鯛釣りや当大会で用いられるフカセ釣りは、普段から趣味として釣りをされる方々にとってもニッチな世界となり、単純に「釣り」というワードで広告を実施しても、コンバージョンには結びつかない可能性がありました。
よって具体的な絞り込みが可能となるGoogleファインド広告を今回は広告媒体として選定しました。また過去に「黒鯛 釣果/クロダイ 釣果/チヌ 釣果/フカセ釣り 釣果/筏釣り 渡し」などのキーワード検索を行ったユーザーを対象にすることで上記のニッチな層のみに広告配信を行い、コンバージョン率を高めることを狙いました。
Googleファインド広告とはGoogleが保有するサービス内の広告枠に配信できる広告のこと。具体的には「Google Discover」、「YouTube」、「Gmail」に掲載される。検索履歴やサイト閲覧履歴、動画の視聴履歴といったユーザーのWeb上での行動をもとに、高い精度でパーソナライズされた広告配信をおこなうことが可能となる。
過去にディスカバー東広島がInstagramで行ったWEB広告結果はこちらから↓↓
データを根拠にしたターゲティング
配信地域や対象、性別は昨シーズンの大会参加者属性を参考にターゲティングを行うことで少ない予算でも効果的な配信を実現することを目指しました。
【2022年大会参加者属性】
対象属性 | 20代~70代(主に40代~60代)/男性 |
出発地 | 東広島市、呉市、広島市、安芸高田、江田島、安芸郡、竹原、三次、尾道、岡山県 |
コンテンツ商圏範囲の調査
コロナ禍である2020年に設立されたディスカバー東広島は市民や周辺市町の方々を対象にしたマイクロツーリズムに軸足を置いてきましたが、新型コロナウイルスの分類が2023年5月から「5類」に移行する方針が示され、観光産業への影響が回復傾向となることが予想されているため、県外や国外からの観光客の受入環境整備も平行して進めています。
一方で観光地としての認知度が決して高くない東広島では、県外から集客できる商圏範囲の広いコンテンツはまだまだ少ないのが現状です。
しかし釣りは移動を伴うことが多いレジャーとなり、また当大会は広島の特産である牡蠣を養殖する筏の上で特別に行われるため、地域としてのオリジナリティも含まれることから都市圏の方々の関心度や誘客可否を検証するために、あえて昨年参加者にはいなかった「大阪市」を配信エリアに含めることにしました。
(コンバージョンには結びつきづらいと考えられるため、人口が多い大阪市の配信で多くの予算が消化されてしまうことを防ぐため、大阪市でのクリック単価に上限金額を設定することで、広島県からのコンパ―ジョンに影響がでないようにしました。)
今後を見据えての予算設定
次回以降のイベント開催時に最適なWEB広告を主催者が依頼できるようになることを目的に定めているため、実際に主催者が来シーズン以降で広告に充てることができる予算を想定した上で、Googleファインド広告のパフォーマンスや大阪市への配信等の検証要素も含めた予算額を設定しました。
広告結果と分析
WEB広告の表示回数や獲得件数、実際の申込数は以下の通りとなります。
表示回数 | クリック数 | クリック率 | 獲得件数 | 獲得率 | |
広島 | 76,232 | 2,864 | 3.76% | 128 | 4.47% |
大阪 | 56,934 | 534 | 0.94% | 9 | 1.69% |
合計 | 133,166 | 3,398 | ー | 137 | ー |
- クリック数:広告をクリックした数
- 獲得件数:(広告をクリックし)ランディングページから申込ページに進んだ数
広告流入と思われる申込数:35件
広島市 | 18件(51.4%) |
東広島市 | 8件(22.8%) |
呉市 | 5件(14.2%) |
安芸郡 | 4件(8.7%) |
広島エリアに関しては媒体選定やターゲティングが功を奏し、高いクリック率、獲得率となり申込ページまで進んだユーザーの約3割が予約まで至ったことが伺えます。
大阪市に関してはクリック率が約1%とファインド広告として決して低い数値ではありませんが、広島に比べクリック単価は約3倍、獲得単価は約9倍となり、申込までには至りませんでした。
大阪から当大会に参加するためには新幹線等での移動や前泊がマストとなるため、遠方からの集客を今後行っていく場合は、宿泊や移動を伴っても参加する価値があるイベントであることを訴求すると同時にコンテンツをブラッシュアップしていく必要があると考えられます。
集客としては定員の80名を大きく上回り、急遽枠数を増やして最終的に100名を超える規模にて実施することとなりました。
本大会を企画運営された合同会社ひとむすびのコメントは以下となります。
今回の様な連携によって、これまでリーチできていなかった関心層にも情報を届けることができました。
事業者によって参加者の満足度を高め、結果的に口コミを広げていくことは可能ですが、プロモーションに関してはノウハウもリソースも不足しているた、非常にありがたかったです。
おわりに
今年で2回目の開催となる当大会ですがリピート率が非常に高いことからも、今後のプロモーション手法としては最適化したWEB広告手法を主催者に展開して実施していくだけでなく、体験者からの口コミを波及させるキャンペーン等も有効であると考えています。
また主催である漁協組合の方々にとって普段の仕事や日常の風景が募集枠を上回るほどの観光資源と成りうることを改めて認識してもらう機会となり、今後も漁協組合の方々との連携を強めていくことで、事業者さんが主体となった瀬戸内海ならではの地域資源を活かしたコンテンツ開発を共に進めていきます。