〜目次〜
はじめに
ディスカバー東広島では、東広島市公式LINEを活用し、市内の周遊促進とCRM構築を目的としたデジタルスタンプラリーを継続的に実施しています。
2026年2月〜3月に実施した前回クールでは、周遊促進と市内滞在時間の伸長、さらに今後の情報発信基盤づくりに一定の成果が見られました。そこで、2026年4月15日から6月30日までを春クールとして設定し、通年開催の第1クールとして運用を行いました。
今回の春クールでは、単にスタンプ取得数を増やすだけでなく、どのスポットが参加の入口として機能したのか、どの地区で回遊が生まれやすいのかを把握し、次回クール以降の改善につなげることを重視しました。
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実施目的
春クールの実施目的は、主に次の3点です。
- 地域店舗や観光スポットとの連携による周遊促進と市内滞在時間の伸長
- 東広島市公式LINEを基盤とした継続的なCRM運用の推進
- 通年開催を前提としたデータ蓄積と、次回クールに向けた改善点の把握
単発の周遊企画ではなく、継続的に参加者データを蓄積・分析しながら、参加者の再訪や消費促進、参画事業者との連携強化につなげていくことを目指しています。
企画概要とワンポイント
企画概要
春クールの概要は以下のとおりです。
- 実施期間:2026年4月15日〜6月30日
- 対象者:東広島市公式LINE「観光・おでかけメニュー」利用者
- 参加方法:参画スポットでQRコードを読み取り
- 応募条件:6スポットごとに抽選応募可
目的:周遊促進、滞在時間の伸長、CRM構築
春クールの位置づけ
春クールは、前回クールの結果を踏まえてスタートした通年開催の初回運用として位置づけられます。前回クールでは、道の駅やイベント拠点、映画館、パン屋などが初回スタンプ獲得スポットとして強く機能することが確認されました。
そのため春クールでは、特に道の駅 西条のん太の酒蔵をはじめとするゲートウェイ拠点が、実際にどこまで参加の入口として機能するのかを検証する意味合いもありました。
ゲートウェイ機能を生かしたスポット配置
春クールの結果からは、道の駅や直売所などの拠点性を持つ施設が、企画参加の入口として強く機能する傾向が改めて確認されました。
特に、道の駅 西条のん太の酒蔵は、参加者数・初回取得ともに最も多く、春クール全体の導入拠点として大きな役割を果たしました。また、道の駅 福富やふれあい市安芸津店も、それぞれ福富・安芸津エリアにおける入口拠点として一定の機能を担っていたことがうかがえます。
取組結果と分析
LINE観光メニュー利用者数・参加者数・応募者数
2026年6月30日時点のLINE観光メニュー利用者数は4,581人となりました。うち、春クール期間中の新規利用登録者数は448人でした。
また、春クール期間中に1回以上スタンプを取得した参加者数は214人、応募者数(ユニーク)は30人、応募件数は39件となりました。総獲得スタンプ数は479個でした。
さらに、春クール参加者214人のうち、4月15日以降に初めてスタンプラリーに参加したユーザーは156人であり、春クール参加者の約7割を新規参加者が占めていました。このことから、通年開催へ移行した後も、新たな参加者の流入が継続的に生まれていることが確認できます。

利用状況の概要
参加者1人あたりの平均スタンプ取得数は2.24個でした。一方で、中央値は1個であり、参加者の多くは1〜2スポット程度の利用にとどまっています。
実際に、1個のみ取得して離脱した参加者は150人で、参加者全体の約7割を占めました。このことから、参加の入口は一定程度形成できているものの、2スポット目、3スポット目へとつなげる周遊導線にはまだ改善の余地があると考えられます。

エリア別の傾向
春クールでは、道の駅 西条のん太の酒蔵を中心とする西条エリアが、参加の入口として強く機能していました。
また、福富・豊栄・河内の県央エリアでも、道の駅 福富(69個)、福富物産しゃくなげ館(35個)、トムミルクファーム(32個)などを中心に利用が見られ、県央エリア内での回遊が一定程度形成されていたことが確認できました。河内単独のスタンプ数は多くないものの、県央エリア全体として見れば、複数スポットを組み合わせた周遊が生まれていた点は重要な成果です。
一方で、安芸津エリアではふれあい市安芸津店が入口拠点として機能していたものの、エリア全体への広がりは今後の課題です。今後は、ゲートウェイ拠点を起点に、エリア単位で回遊を促す設計をさらに強化していく必要があります。

事業者別の傾向
事業者別に見ると、主要スポットの獲得スタンプ数ランキング上位は以下のとおりでした。
| 1 | 道の駅 西条 | 130個 |
| 2 | 道の駅 福富 | 69個 |
| 3 | 直売所(福富物産しゃくなげ館) | 35個 |
| 4 | 牧場(トムミルクファーム) | 32個 |
| 5 | 酒蔵(賀茂鶴) | 28個 |
| 6 | 直売所(ふれあい市安芸津店) | 27個 |
| 7 | 飲食店(フレスコサンドカフェ八本松店) | 18個 |
| 8 | 飲食店(コティーカフェ) | 16個 |
| 9 | 庭園(仙石庭園) | 14個 |
| 10 | スーパー銭湯雲(母の里) | 13個 |
また、初回スタンプ獲得スポット数ランキング上位は以下のとおりでした。
| 1 | 道の駅 西条 | 89人 |
| 2 | 道の駅 福富 | 27人 |
| 3 | 牧場(トムミルクファーム) | 14人 |
| 4 | 直売所(ふれあい市安芸津店) | 11人 |
| 5 | 飲食店(フレスコサンドカフェ八本松店) | 11人 |
この結果から、道の駅 西条のん太の酒蔵が圧倒的な入口機能を持つこと、また道の駅 福富も福富エリアにおける有力な入口拠点として機能していることが明確に確認できました。
成果として評価できる点
春クールの成果として、まず新規参加者を継続的に獲得できたことが挙げられます。通年開催へ移行した後も、春クール参加者の約7割が新規参加者であり、企画自体が新しい利用者との接点づくりに寄与していることが確認できました。
次に、ゲートウェイ拠点の有効性が明確になったことも大きな成果です。道の駅 西条のん太の酒蔵、道の駅 福富、ふれあい市安芸津店など、来訪者が立ち寄りやすい拠点が入口として機能しやすいことが数値的に確認できました。
さらに、県央エリアでは面的な回遊が形成されていたことも評価できます。単独スポット依存ではなく、複数の拠点が相互に回遊の受け皿となっていたことは、地区単位での周遊設計の有効性を示しています。
課題として整理すべき点
一方で、春クールの課題として最も大きいのは、1スポット取得で止まる参加者が多いことです。参加者214人のうち150人が1スタンプで離脱しており、参加の入口から周遊の広がりへつなげる導線設計が十分とは言えません。
また、利用が一部拠点に集中していることも課題です。上位2スポットで全体の4割超、上位5スポットで6割超を占めており、地区や事業者間の差が大きい状況です。参加スポットがあるだけでは回遊は生まれず、入口拠点とその先の回遊先をセットで見せる設計が必要です。
加えて、応募条件到達への導線も弱いと考えられます。応募者数30人は一定の成果ですが、参加者214人に対する割合で見ると、より多くの参加者を応募到達まで導ける余地があります。
おわりに
道の駅 西条等のゲートウェイ機能の強化
春クールの結果から、道の駅 西条のん太の酒蔵をはじめとするゲートウェイ拠点が、参加の入口として有効であることが確認されました。これを踏まえ、次回の夏クール(7〜9月)では、道の駅 西条を中心に、道の駅 福富、ふれあい市安芸津店にも、参画スポットをマップに落とし込んだチラシを配架し、入口拠点から次のスポットへ回遊を促す導線を強化していきます。
また、チラシだけでなく、参画スポットの店舗紹介冊子や商品チラシなどもあわせて配架することで、単にスタンプを集めるだけではなく、各スポットの魅力や地域産品への関心を高め、回遊と消費の両方につなげていくことを目指します。

企画プロモーションの強化
春クールでは、道の駅 西条でのポスター掲出効果を純粋に把握することを目的に、あえてプロモーションを抑えて運用しました。その結果、一定の参加者数と新規流入が確認でき、ゲートウェイ拠点としてのポスター掲出効果や現地訴求の有効性が見えてきました。
この成果を踏まえ、次回の夏クールでは、企画の認知度向上と参加者増加に向けて、有料も含むプロモーションを強化していきます。オウンドメディアや現地掲出に加え、より広く認知を獲得できる施策を組み合わせることで、入口拠点への来訪者だけでなく、まだ企画を知らない層への到達も図ります。
また、市公式LINEから観光メニュー登録者に対して、継続的に対象スポット情報等を発信し、参加後の離脱防止と回遊促進を図っていきます。初回取得後の次の行動を後押しする情報発信を強化することで、1スポットで止まる参加者を減らし、複数スポットの訪問へつなげていきます。
次回クールに向けた改善の方向性
次回クールでは、参加の入口を増やすだけでなく、2スポット目、3スポット目へどう送るかを重視した設計が必要です。
具体的には、道の駅 西条のん太の酒蔵、道の駅 福富、ふれあい市安芸津店などのゲートウェイ拠点から、近隣スポットやテーマ性の近いスポットへつなぐおすすめルートの見える化を進めることが有効と考えられます。あわせて、LINE上でも対象スポット情報を継続的に発信することで、参加者一人ひとりの行動を後押ししていきます。
春クールは、通年開催の初期運用として、入口拠点の有効性や地区別の傾向が見えたクールでした。次回の夏クールでは、今回得られた実績をもとに、ゲートウェイ機能の強化、プロモーション強化、継続的な情報発信を通じて、より深い周遊と参加者増加につなげていきます。