事業報告

2025年 持続可能な観光に対する住民満足度調査|集計・分析編

はじめに

東広島市民の方々を対象にした、「持続可能な観光地」に関するアンケート調査を実施し、当記事ではその集計結果を掲載しています。

調査概要

調査方法 インターネット調査(東広島市LINE公式アカウントから回答フォームを配信)
対象者 東広島市民
設問数 9問
回答数 398件
調査期間 2025年10月29日(水)~11月04日(火) 7日間
調査実施主体 一般社団法人ディスカバー東広島

アンケート集計・分析

回答者属性

世代

居住地

勤務・通学地

主な職業・地域での活動

満足度

Q:あなたは今、東広島市が「持続可能な観光地」として満足のいく状態だと思いますか。最も近いものを1つお選びください。(選択式)

※持続可能な観光とは、【 観光客を受け入れるだけでなく、地域経済を活性化しながら、 地域の自然や文化を守り、住民の皆さんの暮らしも大切にする】 観光のあり方です。
例えば、🌿 自然や景観を守る 🏘 地域の暮らしやすさを保つ 💼 地元の仕事や経済を元気にする 🎎 伝統や文化を次の世代につなぐなどです。

  • 「持続可能な観光地」への満足度は、「満足・大変満足」が37.7%と約4割
  • 「どちらでもない」が34.4%と大きな層を形成

不満の要因

Q:前の質問で「不満」または「大変不満」と回答された方にお伺いします。どのような点に不満を感じていますか。(複数回答可・その他自由記入)

不満回答者ベースの構成比(n=111)
地元経済への還元が感じられない 64.0%
観光による交通混雑や駐車場不足 44.1%
文化・伝統の保全が十分でない 28.8%
観光客のマナー・行動(騒音・ごみなど) 9.9%
自然環境や景観への影響 6.3%

その他自由記入

https://discover.east-hiroshima.info/wp-content/uploads/2024/10/人物アイコン2-522x520.png
回答者

観光客の方を受け入れる仕事や、東広島市の特産品を製造・販売するに従事していないこともあってか、あくまでも私自身や私周辺の方の経済が元気になっているという実感はないです。観光客の方のマナーや交通渋滞、駐車場不足の面で不快や不満に思ったことはないです。酒蔵通りの景観も守られていると思います。文化や伝統の面では、酒造りはこの先も続いていってほしいです。(中略)高屋では白市歌舞伎があり、こちらも絶えることなく続いていってほしいと思っています。

  • 不満の最大の要因は、「地元経済への還元不足」と「交通インフラへの負荷」の2点
  • 観光客増加による経済的な恩恵を実感できておらず、交通渋滞などの問題意識を持っていることが伺える

観光客受入意向

Q:これからも、自然や文化、地域の暮らしを大切にしながら、観光客を受け入れていくことについて、あなたはどう思いますか?(選択式)

  • 今後の観光客受け入れ意向は「とても良いと思う・どちらかといえば良いと思う」で95.5%
  • 観光客受容はポジティブとなり、観光客を排除したい等の意識はほとんどないことが伺える

観光客との関わり

Q:あなたは、観光客とどの程度の関わりがありますか。 (選択式)

  • 「買い物や外出のときに、たまに見かける程度」(41.2%)と「ほとんど関わりはない」(35.9%)を合計すると、回答者の77.1%を占め、「消極的関わり層」「無関わり層」がボリュームゾーンとなる

観光への参加意欲

Q:今後、地域で行われる観光に関するイベントや活動(例:イベント、案内ボランティア、地域の魅力発信など)に、参加したいと思いますか?(選択式)

  • 「参加したい」(41.5%)と「積極的に参加したい」(7.5%)、そして「現在も参加している」(4.8%)を合わせた「参加意欲あり」層は53.8%と、半数以上を占める
  • 「積極的参加」を求めるのではなく、機会が提供されればという控えめながらも具体的な意欲を持つ「参加したい」層が41.5%と最も厚いボリュームゾーンとなる

クロス分析

世代別満足度

  • 40代が最も満足度が高く、50代が最も不満度が低い層となる ※10代は回答数が少なく、分析の信頼性が低くなるため含めていない
  • 一方、70代以上は「満足・大変満足」が25.0%と低く、「不満・大変不満」が36.4%と全年代で最も高い

世代別不満要因

不満回答者数 経済還元 交通・駐車場 文化・伝統 マナー・騒音 環境・景観
20代以下 0 0 0 0 0 0
30代 24 66.7% 58.3% 12.5% 16.7% 0.0%
40代 31 71.0% 45.2% 25.8% 9.7% 12.9%
50代 21 61.9% 47.6% 23.8% 4.8% 4.8%
60代 17 58.8% 35.3% 41.2% 11.8% 5.9%
70代以上 16 50.0% 31.2% 56.2% 6.2% 6.2%
  • 「経済還元」の不満は全世代共通で特に働き盛りの層で高い傾向。40代が71.0%で最も高く、次いで30代(66.7%)、50代(61.9%)と、働き盛り・子育て世代(30代〜50代)で特に強い不満となる
  • 「文化・伝統」の不満は高齢層で顕著となり、70代以上が56.2%で突出して高く、60代(41.2%)が続く

世代別観光活動への参加意欲

  • 30代は「積極的に参加したい」(11.2%)が全年代で最も高く、次いで50代(11.1%)が続く
  • 60代は「参加したい」(51.8%)が全年代で最も高く、「積極的に参加したい」(3.6%)は控えめとなるが、「現在も参加している」(7.1%)は最も高い割合となる
  • 70代以上は「どちらともいえない」(52.3%)が過半数を占め、最も様子見層が厚い。同時に「積極的に参加したい」は0.0%となる
  • 40代は、「どちらともいえない」(36.9%)と「あまり参加したくない」(9.9%)の合計が46.8%と、参加意欲のない層や様子見層の合計が高い傾向にある

観光客との関わり別満足度

  • 「まちのイベントやお店などで、時々ふれあうことがある」の満足度が最も高く(満足・大変満足で)約47%
  • 一方で、観光客と「ほとんど関わりはない」層の満足度が最も低く(25.2%)、不満度が最も高い(32.2%)
  • 「観光客と日常的に接することが多い」の満足度は「満足」が40%、「大変不満」が20%と他に比べ最も高い(回答数が少ないことも影響)

居住地別満足度

  • 「西条」「黒瀬」「河内」では満足・大変満足が約4割と比較的高い水準
  • 「志和」「豊栄」「安芸津」「福富」では不満・大変不満の割合が全体平均(27.9%)を大きく上回る(志和・豊栄:44.4%、安芸津:37.5%、福富:66.7%)

居住地別不満要因

不満回答者数 経済還元 交通・駐車場 文化・伝統 マナー・騒音 環境・景観
全体平均 111 63.1% 37.8% 22.5% 9% 8.1%
西条 53 67.9% 49.1% 26.4% 15.1% 7.5%
高屋 20 50% 45% 40% 5% 0%
八本松 13 76.9% 30.8% 7.7% 0% 7.7%
黒瀬 8 50% 37.5% 12.5% 0% 0%
豊栄 4 75% 25% 75% 0% 0%
志和 4 75% 50% 50% 25% 25%
安芸津 3 66.7% 33.3% 66.7% 33.3% 33.3%
河内 3 33.3% 66.7% 0% 0% 0%
福富 2 50% 50% 50% 0% 0%
  • 「地元経済への還元が感じられない」は、河内以外の地域で最も高い不満要素となる
  • 八本松は満足度で「どちらでもない」層が多かった地域となるが、不満層に限れば「経済還元」の不満が際立っており、観光が地元に恩恵をもたらしていないという課題意識が強いことが伺える。※回答者数が少ない地域(豊栄、志和、安芸津、河内、福富)は分析の信頼性が低くなるため、解釈に要注意

居住地別観光活動への参加意欲

  • 西条(42.6%)、八本松(40.7%)、黒瀬(46.4%)、河内(60.0%)、志和(66.7%)、福富(100)では、「参加したい」と回答した層が最も厚い
  • 特に、河内は「積極的に参加したい」(10.0%)と「参加したい」(60.0%)を合わせると70.0%が意欲的
  • 高屋(40.6%)、豊栄(44.4%)、は、「どちらともいえない」の割合が比較的高い
  • 安芸津は「現在も参加している」が25.0%と、最も高い割合。一方で「参加したい」は0%、「どちらともいえない」が62.5%と過半数を占め、二極化する傾向にある
  • 志和は「現在も参加している」が11.1%、「参加したい」が66.7%と、高い参加率と、それを上回る潜在的参加意欲が伺える

職業別満足度

  • 会社員(製造業)は、「満足・大変満足」が43.5%と最も高く、逆に「どちらでもない」の割合(23.9%)が最も低い
  • 公務員・教職員(40.3%)と主婦・主夫(43.1%)は、「どちらでもない」の割合が全体平均(34.4%)より大幅に高い

※回答者数が極端に少ない職業(1桁台)については、分析の信頼性が低くなるため、回答者数が比較的多いグループ(20名以上)のみ掲載。

勤務・通学地別満足度

  • 「東広島市内勤務/通学」のグループは、「満足・大変満足」が38.3%と全体平均よりやや高い
  • 同時に、「不満・大変不満」も31.0%と、市外勤務/通学者グループ(21.9%)よりも約10ポイントも高い
  • 「東広島市外勤務/通学」のグループは、「どちらでもない」が41.6%と、市内勤務/通学しているグループ(30.7%)よりも約11ポイント高い

おわりに

「観光アンケート」にご回答いただきました皆様、この度はご協力いただき誠にありがとうございました。

今回の調査結果を踏まえ、持続可能な観光に対する市民の方々の満足度を向上させるため、ディスカバー東広島では地域経済への還元等に係る取組を推進していきます。以下の記事にて、具体的な取り組み方針をまとめています。

2025年 持続可能な観光に対する住民満足度調査|アクション方針・目標値設定編

より良い東広島の観光地域づくりに向け、引き続きご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。

TOP