事業報告

台湾最大級旅博ITF2024出展

はじめに

台湾で行わる旅博の中で最大級となり今回で32回目となる台北国際旅行博ITF(Taipei Internacional Travel Fair)にディスカバー東広島として出展し、日本酒を中心とした東広島の魅力を来場者の方々へ案内しました。

旅博への出展目的

今回の台湾出張にあたり、以下の目的を設定し、アンケート設問設計や誘客キャンペーン、商材資料等の作成を行いました。

  • 台湾市場における日本酒コンテンツのニーズ調査
  • 竹原観光まちづくり機構との連携によるエリア認知度形成
  • 台湾旅行会社への商材提案と市場動向調査

ITF概要とワンポイント

台北国際旅行博ITF2024

日程 2024年11月1日(金)~11月4日(月)/4日間
10~18時(初日のみ12時開場)
開催会場 台北市・南港展覧館1号館<1F・4F>※日本ゾーンは1F
来場者数 364,563人(過去最高)
主催 財団法人台湾観光協会
主な出展者 海外の観光機関、航空会社、ホテル、客船、テーマパーク、レジャー施設、観光スポット、ショッピングなど

会場は来場者で身動きができなくなるほどの賑わいとなる時間帯もあり、11月3日(日)だけで122,116人が訪れ、過去9年間で1日あたりの最高記録を更新しました。

台湾の大手旅行会社も多く出展してリアルタイムでツアーを販売しており、先日参画した韓国トラベルショーでは見られない光景となりました。来場者人数のみならず、大手旅行会社の売上も過去最高を記録したと発表されています。

地域DMO合同出展

1ブース分のスペースに竹原観光まちづくり機構(以下、竹原DMO)と連携して出展することで予算を抑え、且つ瀬戸内・広島としてのエリア認知を形成するように取り組みました。一方でブースデザインの施工上、ブースタイトルが代理店会社名となるため、来場者の方々に視覚的にアピールすることが難しことも実感しました。

観光情報案内と誘客キャンペーン

西条酒蔵通りの概要や体験できるツアー、飲食店を含む周辺観光スポット情報を記載したチラシと瀬戸内海コンテンツのチラシを中国語(繁体文字)で作成し、ブースにて配布・案内することでコンテンツの認知形成を図りました。

竹原DMOがSNSフォロアーを対象にしたくじ引きイベントを実施され、ブースの賑わいがうまれたと同時に、ノベルティ配布時に竹原だけでなく東広島のチラシも併せて配布いただいたことで、より多くの方々に観光情報を案内することができました。この場をお借りして竹原観光まちづくり機構さまにお礼申し上げます。

韓国トラベルショー出展の経験から、キャンペーン価格等なしに旅博期間中にツアー販売を行うことは訪日ファネルの観点からもハードルが高いことが伺えたため西条酒蔵通りツアーのペア割引クーポン(2,000円引き/人)を以下の条件を設けてブース来場者に配布し、アンケート調査も実施しました。

  1. 日本酒への興味関心が高い
  2. 1年以内に訪日予定あり
  3. 英語又は日本語が堪能

↓↓韓国トラベルショーに関してはこちら↓↓

韓国トラベルショー2024出展

来場者の方々とコミュニケーションをとり、初日からの3日間で38名の方々に割引クーポンを配布しました。想定していたよりも配布枚数が伸び悩んだため、最終日は条件①を「日本酒」だけでなく「日本文化歴史や伝統」へ範囲を広げ、追加で34名、計72枚のクーポンを配布しました。

韓国・台湾と続けてブース出展を行ったことにより、国や地域による来場者の反応の違いや来場者数、ブース立地、動線等の要因を考慮して、毎日ブース内でのアクションを試行錯誤する必要があることも学ぶことができました。

割引クーポンの利用期限である2025年9月末までにクーポンを持参してツアーに参加された方々の人数をカウントし、CVRを測定していきます。

ITF期間中のチラシ等の配布数は以下の通りとなります。

西条酒蔵通り 1,700枚
瀬戸内海コンテンツ 500枚
割引クーポン 72枚

アンケート集計

割引クーポンを配布した方々のアンケート集計結果は以下の通りとなります。

30~40代の家族や親せきグループがボリュームゾーンとなり、竹原のウサギ島(大久野島)や町並み保存地区、龍王島(無人島アウトドア施設)との周遊観光の相性が良いことが伺えました。

台湾旅行会社訪問

ITFブース出展と併せて今回の台湾出張では4つの旅行会社を訪問し、西条酒蔵通りや石庭、宿泊施設情報を掲載した冊子をもとに東広島の観光情報を案内しました。上記のアンケート結果も冊子に反映させることで、データから想定される客層や周遊コースの提案も行いました。
また台湾マーケットの動向や日本酒関連コンテンツや庭園のニーズに関しても意見交換を行いました。

竹原DMOは昨年もAGT訪問を行っており、訪問先旅行会社が実際にシリーズツアーを造成していたか否かを事前にWEBで確認し、販売していた場合の反響もヒアリングされていました。

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旅行会社①

ITF2024は過去最高の来場者数、大手旅行会社は過去最高の売上と発表している一方で、出展旅行会社間での競争も激化しており、費用対効果を慎重に見極めて今後の出展を考えていく必要がある。

広島―台北便の就航時間が今後変更になった場合は既存ツアーの旅程を一部、調整していく予定。今まで20時頃に日本に到着していたが昼頃となればより充実したスケジュールを組むことができる。

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旅行会社②

今、クルーズ船が台湾でブームとなっており旅行スタイルの変化やディスティネーション競合が発生する可能性がある。

台湾では日常的にアルコールを飲む習慣はなく、飲食店でもアルコール類を提供しない店も少なくないがお祝い事や年末年始など特別な日に飲む傾向がある。お酒を飲む習慣の有無に関わらず、歴史文・伝統的な側面での酒蔵見学に興味を持つ方は一定数おり、またお土産や贈答品として日本酒を購入することがある。

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旅行会社③

シリーズツアーに含める庭園には、仙厳園(鹿児島)や栗林公園(香川)、北川村「モネの庭」マルモッタン(高知)、由志園(島根)、兼六園(石川)があり、目的地として含める場合と旅程の時間調整の為に含めている場合がある。

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旅行会社④

お得意様に対して視察・インセンティブツアー等の受注型企画旅行を販売しており、過去に日本酒や酒蔵見学に特化したツアーも手配販売経験がある。

おわりに

ターゲット国選定

台湾からの訪日観光客1人当たり消費単価は19.2万円とアジア圏の平均的な値となり、来訪者数は国別で3位の146.3万人 (1位韓国:202.1万人、2位中国:189.3万人)、旅行消費額合計では2位の2,811億円(前年同期比+35.9%。1位中国:5,055億円)となります(観光庁7-9月速報)。

また台湾への日本酒輸出量は国別で4位(1位アメリカ、2位中国、3位韓国)、輸出金額は5位(1位アメリカ、2位中国、3位香港、4位韓国)と上位に位置しており(出典:令和6年9月農林水産省「日本酒をめぐる状況」)、東広島の特産品との相性も良いことが伺えます。

さらに広島⇔台北の直行便もデイリーで就航しており、広島県観光連盟や広島国際空港、周辺市町DMOもターゲット国に定めているポジティブな外的要因を確認することができます。
これらの要因からディスカバー東広島として台湾をターゲット国として定め、受入環境整備とプロモーションの促進を行っていきます。

現状で外国人観光客が少ない東広島において、数値として表すことは難しいですが親日国でカルチャーギャップも小さく、日本語が堪能な方も多いことも、地域事業者の方々がインバウンド受入に係る心理的ハードルが低くなりターゲット選定する上で重要なポイントとなります。

台湾出身の東広島在住外国人市民の方を新たにスタッフとして迎え、チラシ等の翻訳や継続実施しているVFR促進バスツアー企画の立案等にも参画してもらうことで、受入環境整備とプロモーションを東広島の特色を活かして促進していきます。

広島市からのサイドトリップ促進

上記した通りポジティブな要因がある一方で、ITF来場者に対して観光情報を案内した際に日本酒に興味関心を示されたのは1割程度となり、訪問した旅行会社からも日常的にアルコールを飲まない人の割合は年配層に多いというコメントがありました。台湾での日本酒消費量と額は、台湾に多くある日本料理店や日式居酒屋等での提供や祝日などのギフト需要に支えられていることが考えられます。

日本酒関連コンテンツが訪日旅行の主目的にはなりづらいものの、厳島神社や原爆ドームなどの広島のハイライトコンテンツを目的として来日した歴史文化に興味関心がある方々に対して、広島市からのエクスカーション先としてユネスコ無形文化遺産に登録される見通しの「伝統的酒造り」を伝える酒蔵見学ツアーを訴求し、ツアー参加費だけでなく贈答用としての土産消費、飲食消費に繋げることで地域経済への波及を図っていきます。

よって旅博の様なタビマエのマスプロモーションによる認知形成の優先順位は現状通りのままとし、引き続き広島市内のホテルコンシェルジュや交通事業者の方々との連携に注力することで、タビナカでの効果的なプロモーションと誘客促進を進めていきます。

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