〜目次〜
はじめに
2020年10月にコロナ禍の中で設立されたディスカバー東広島は、これまで市民や周辺市町の方々を対象にしたマイクロツーリズムを主軸として活動してきました。
本記事では、約3年間の活動で実感したマイクロツーリズムの強みと見えてきた課題について記載しています。
マイクロツーリズムの強みと課題
強み
社会情勢の影響が少ない
マイクロツーリズムの最大の強みは、社会情勢の変化に対する堅牢性となります。
新型コロナウイルスの感染拡大により、緊急事態宣言や移動規制などが敷かれ、多くの観光地、特に外国人旅行客の多い地域が打撃を受けました。
観光業界は感染症だけでなく、地震や戦争、デモ、火山の噴火などの社会情勢や気候変動などの外的要因に左右されやすい産業です。
一方で東広島市は政令指定都市で120万の人口を有する広島市を含む8つの市町と瀬戸内海に面しており、また地方自治体としては珍しく市内人口が増加しているという地理的、人口推移的な特性があります。
また東広島には豊かな自然環境が残るだけでなく、産業技術も集積しておりファミリー層からのニーズが高い自然体験型観光やお仕事体験などの産業観光を地域事業者さんと連携してコンテンツ化し、イベント自体を小規模予約制とすることでコロナ禍においても市民や周辺市町の方々に対して提供することができました。
スモールステップによるPDCAサイクル
農業体験や工場見学など観光を本業としない事業者さん等と連携して造成したコンテンツへの集客を実現することができた要因の一つにLINE公式アカウントによるセールスプロモーションが挙げられます。
月間ユーザー数が9,500万人(2023年6月末時点)となり、体験予約URLをプッシュ通知で配信できるLINEはマイクロツーリズムとの相性が良く、広告費をかけずにイベントへの集客とリピーター層の形成を行うことができました。
プロモーション費用をかけずに、モニター募集や小規模開催をコンスタントに実施し、そこから得られた消費データやアンケート調査を基にコンテンツをより良いものへブラッシュアップさせるPDCAサイクルを短期スパンで回すことも実現できました。
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地域業者さんとの関係構築と団体認知度形成
観光地としての認知度が高いとは言えず、観光業を本業としている事業者さんが決して多くはない東広島において、今までに農林水産業や製造業に携わられている方々、地域の自治組織、教育機関など多様な団体との連携によってコンテンツ開発を行ってきました。
連携先を観光事業者だけに限定しなかったことにより、幅広い方々と関係性を構築することができ、全国的にまだ認知度の低いDMO登録制度において、ディスカバー東広島は今までに約100団体と連携し、団体認知度の形成も進めています。
見えてきた課題
観光消費額の伸び悩み
市内や周辺市町からの観光となるため、宿泊を伴う旅行にはなりにくく、またマイクロツーリズムは「旅行」というよりも心理的にも「おでかけ」に近い感覚となるため観光客の購買意欲を高めづらくなります。
また近場へのおでかけとなるため、目的地と自宅の直線的な動きになることが多く、「せっかく〇〇まで来たからついでに〇〇も寄って行こう」といった周遊観光促進による滞在時間の伸長には結びつきづらく、観光消費額の向上にも課題があることがアンケート調査結果などから明らかとなりました。
おわりに
観光産業の特性や東広島のバックグラウンドから市内や周辺市町の方々をターゲットとした企画を今後も継続して実施していきます。
同時に、新型コロナウイルスの五類感染症への移行や外国人観光客が回復している現状において、DMOとしてインバウンドや県外からの誘客を促進させ、観光消費額の向上による地域経済への波及も目指していきます。