〜目次〜
ディスカバー東広島の「食」に関する取り組み
① 来訪者が「食べるべきグルメ」をWEBサイトにおいて情報発信
② 東広島の特産品と飲食店の認知度向上と消費促進
③ 東広島の特産品「日本酒」を体験できる取組促進
今回の記事では、③の取り組みに関わる、2024年8月に行った「東広島日本酒試飲会」の詳細をご報告します!
実施背景
「観光」の視点から見た「東広島の飲食」の課題
ディスカバー東広島では、観光実態調査(2023年)や日本酒調査(2022年)を実施し、その調査を通じて次のような課題がみえてきたことは前回の食に関する記事でもご紹介しました。
① 観光客の飲食率の低さ
② キーコンテンツである「日本酒」「酒蔵」は観光コンテンツとして認知されているが、それだけではメインの観光地になることは難しく、「酒蔵」+αが必要。
飲食店での「おいしい」体験の重要性
造り手の想いに触れながら酒蔵で楽しむ日本酒にはもちろん素晴らしい価値がありますが、酒蔵を楽しんだ後に食事とともに日本酒を楽しむ「おいしい」体験をすることで、その旅がより印象に残るものとなります。
日本酒造組合中央会が2023年に実施した日本酒需要動向調査では、日本酒のイメージとして最も魅力的に感じるのは、「好みや食事との相性でさまざまな温度帯で楽しめること」となっており、これは飲食店で提供するからこそできる価値の一つです。
「東広島日本酒試飲会」の実施
より魅力的に日本酒を提供できる飲食店が増えることを目指して、飲食店・酒販店に向けた日本酒の魅力を知ることができる場所をつくることとなりました。ファーストステップとして気軽に参加できる時間帯・価格の「日本酒試飲会」を実施することとしました。
企画の実施主体
東広島には、「日本酒のまち東広島」をもっと盛り上げたいと考えている「日本酒ミーティング」という地域の飲食店が構成する有志団体があります。DMOが感じる課題をこの団体も感じており、連携して事業を実施することとしました。飲食店が企画運営にかかわることで、持続可能な企画となるとともに、飲食店が現場で感じる課題を企画に反映することができます。
さらに、「東広島の日本酒」の魅力を地域飲食店に知ってもらうため、東広島にある10蔵すべてに試飲会での出展を依頼しました。DMOが出展に関する調整を行うことで、参加者の広がりが期待され、すべての酒蔵に出展いただくことができました。また、酒造りには欠かせない精米機のトップメーカー株式会社サタケにも出展いただきました。
「東広島日本酒試飲会」の到達目標
飲食店に日本酒の魅力を知ってもらう活動の長期的な目標
日本酒の楽しみ方を提案できる環境(飲食店で日本酒が楽しめる環境)を整備することで、日本酒を目的とした訪問への価値向上、および滞在時間の延長や周辺での飲食消費喚起を通じた地域経済の促進を実現し、地域全体に効果が波及するような好循環を促すこと
「東広島日本酒試飲会」の到達目標
あるべき姿(長期的な目標)とは別で、今回の会での到達目標を次の通り設定しました。
① 地域の飲食店・酒販店に「東広島の日本酒」に興味を持ってもらうこと
② 地域の飲食店と酒蔵のつながりをつくること
試飲会概要
企画設計にあたり留意したこと
- 日本酒の販売につながるかどうかは一旦置いて、酒蔵のフィロソフィー(哲学)を飲食店・酒販店に語り、酒蔵の魅力を飲食店・酒販店を通じて広めることにつなげる場であることを運営者・出展酒蔵の共通認識としたこと。
- 東広島の飲食店が東広島の酒蔵や日本酒の魅力を知れる環境を定期的につくっていくことを当初から念頭に置いたこと。
- 参加のハードルを下げるため、入退場自由としたこと。
- タダ呑みできる場という印象を与えないために、参加者から入場料をとることとしたこと。
試飲会参加者数
46人
飲食店へのアンケート結果
自由記述
今回このようなイベントに参加させて頂き、店頭で販売はしているが飲んだことのない日本酒を飲み比べる事ができ、今後の接客に活かせそうです。貴重な機会をありがとうございます。
味わいをお客様に伝える為に必要な情報・知識をもっと学びたいと思いました。また、せっかく蔵の方がプレゼン資料を用意されているので、プレゼンの時間と試飲の時間は分けた方が更なる理解に繋がると思います。
目標の達成度
① 地域の飲食店・酒販店に「東広島の日本酒」に興味を持ってもらうこと
これまで「東広島の日本酒」を取り扱っていなかった店舗のうちすべての店舗が「今後取り扱いたい」と回答しており、興味関心が高まったことがわかりました。
② 地域の飲食店と酒蔵のつながりをつくること
各酒蔵がおこなったプレゼンでは、参加者はメモを取りながら聞き、各ブースでも参加者と酒蔵の会話が弾む様子が見られ、情報交換を行うことで今後につながっていました。
継続的に実施していくための課題
① 運営上の課題
参加者の名札着用、酒蔵プレゼンの仕方、会場の動く線など出展者である酒蔵から前向きな検討案が多数あげられたため、今後の実施の際にトライ&エラーを繰り返しながら運営方法を確立させていく必要があります。
② 実施主体に関する課題
今回は飲食店が構成する有志団体と連携して事業を実施することとし、飲食店が現場で感じる課題を企画に反映することができました。
今後定期的に実施していくためには、DMOが調整役として機能する必要があり、DMOなしで企画を継続実施するには費用面や調整面で課題が残りました。
今後の展開
飲食店とのつながりの強化と連携
飲食店での「おいしい」体験の重要性を飲食店に伝えるとともに、地域の特産品を飲食店が「稼げる」取り組みにつながるよう引き続き意見交換を行い、テスト事業を継続的に実施していきます。